祈りの辰砂壺
平成 14 年 6 月 第 38 回国際公募亜細亜現代美術展 入選
広口の上部と底をしぼった形は、弥生式の土器を思わせる収穫を祈る気持ちが込められている。農耕民族の日本人の文化の流れが脈々と息づいている。
太古の昔から、日本人は、森羅万象に神が宿ると信じ、畏敬の念を抱き、昇る朝日に手を合わせるような民族性を持っていた。文明の発展を遂げて、物質的には豊かになっても、決して心の満足は得られない。そこには「感謝」の気持ち、心の豊かさ、落ち着きなど、かなり精神性の強さや志の高さが求められている。
究極の目的は、平穏無事の心。祈りの心である。素朴な心で毎日を過ごす。小さな出来事で満足する気持ちを持つことを大切にしながら、好きな陶芸に打ち込める幸せを、辰砂壺を作ることによって深謝している。
平成 15 年 7 月の宮城県北連続地震で、ひびがはいってしまったが、破れなかったことには感謝である。
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